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「今まで恋人も縁談も  あったはずなのに  口にしなかった鈴子が  ソレを話すってことは  かなり進んでるのだと思う」 湯呑茶碗を揺らす優子を 直樹はただ見ていてやるしかない。 「鈴子の家は、姉さんが  二人とも嫁がれてるよね?」 「ええ…だから婿養子さん。  『こんないい加減な奴に   婿養子の名乗りを   あげてくるのはもう   これが最初で最後じゃん』  って…笑ってたわ…」 「そう…じゃあ、  等々力の家で暮らすんだ」 「うん、きっと…。  遠くに行くわけじゃないもの。  今まで通り近くにいて  いつでも会えるんだもの」 自分に言い聞かせるように ほっと笑った優子の顔は、 三編みしてた小学生の頃と あまり変わっていないと、 直樹は改めて思うのだった。 e29d7498-3234-4074-b2d9-3b11bb91b03a
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