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「電話にも出れないくらい
状況は悪いのだろうか」
「そうね……。
とにかく裕樹からの
連絡を待つ以外は…」
直樹が心細いような顔を
していたせいか、
「大丈夫よ、すぐに
事態が解るわ」
優子は微笑んだ。
こんなふうに…
いつも…互いの“片恋”に
不安な影が刺したとき、
互いを慰め合ってきた二人。
そしてそんなときはいつも
「君に(あなたに)恋すれば
こんなに苦しくないのに」
どちらともなく口にして
自嘲気味に微笑み合う…。
ただ、今夜は次の言葉が出ず、
重苦しさを漂わせながら
帰路へハンドルを
……向けるのだった。
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