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ほっとしたところで “集まりの主旨”が 端的な性格の鈴子から 「父親が名乗ってきたよ  どうする?菜々子」 二杯目のウイスキーのついでに 告げられると 「ん…困ったなあ…」 困ったわりには ツマミのピザを選びながら 菜々子は笑った。 「その反応によると  その“藤川さん”が  透真くんの父親なのね」 返事をしない菜々子に 優子が決を打って 「“略奪する気”もないなら  テキトーに父親の名前、   言っておいたほうが  いいんでね?」 鈴子がいとも簡単に 「裕樹あたりが妥当かな?  ロクな稼ぎもないから  結婚する気なしって  ことで、ハハハ」 言うものだから 菜々子も優子も 「あ、それ、いいかも」 笑って乾杯。 「おいおい…」 直樹は三人の女に呆れながら… 一人外れたベランダ沿いの 長椅子に脚を伸ばして 外の夜景を眺めたままの、 無言で飲む太一を気遣った。      
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