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(そんなに簡単には…) 言葉にするのを 直樹は止めにして 「どうする?俺か優子が  間に入ろうか?  それとも自分で…」 提案を入れた。 「そうね……」 チラリと菜々子は 太一の背中を見た。 長い付き合いなのだ、 太一の気持ちに気づかずで やってきたわけではない。 「じゃあ、お願い。  私も藤川さんに  会う理由……ないし…  これ以上太一に迷惑を  かけるわけには、」 菜々子の言葉を 「迷惑なんかじゃないよ」 背中を見せたままで 太一が止めた。 微妙な空気、 カラカラと氷を回す音だけ。 (僕らは…不思議な  多角形の中にいる) 遣る瀬無く太一の想いに 裕樹が恋しい直樹は      自分を重ねていた。
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