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「はい!おーお疲れしたー。  今日も忙しかっただろ?  無事に店は終わった?」 優しい口調の裕樹に 満面の笑みがひらがったのを 直樹は横目で……。 「ああ!うんうん!  やっぱ今日も売れたか  ガーリックパスタ!  あれはパン代わりに  メインが進むんだ…  それに…」 (親父さんの店の人だろうか…) 直樹が気にかかるくらいに 裕樹は浮かれていた。 (書物以外でアイツが  あんなに楽しそうに  するなんて…) 少し気詰まりを感じたのか、 「ありがとう。  また明日俺から  電話するよ」 裕樹はスマホを置いて… まるで“浮気相手”からの 電話ででもあったかのように 「さあ、飯!飯!  朝までやろうぜ!」 わざと陽気にグラスを空けた。  
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