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菜々子の“相手”・
子供の父親と名乗る藤川と
直樹、優子が面会約束を
したのは年明け十日。
直樹達の事務所へ現れた人物は
悪い印象など微塵もない
誠実な容貌で
「面倒をお掛けして
申し訳ありません…」
腰の低い紳士。
「いえ、こちらこそ
御足労を戴きました」
直樹と優子が頭を下げると
「あの…菜々子さん…
澤さんはなんとおっしゃって
おられましたか?」
藤川から切り出した。
「菜々子は
『私独りの子供だから
一切お気になさらず』
と、だけ」
優子が義務的に答えた。
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