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無言で俯く藤川に 「御家庭があるなら  それが一番良いのでは?  僕らの友人(菜々子)は  後々になって“認知”だの  厄介は言い出しませんよ」 直樹は言った。 「…結婚して長らく…  身体が弱いながらも  良く出来た妻ですから…  なんの不満もなくやって…  きたはきたのですが…」 苦悩を浮かべながら 藤川は続けた。 「僕も…“解ったような”  口をききながらも…  所詮は“男”…。可愛いと  思う女性が現れてしまう…。  ましてや彼女が僕の子供を、  しかも黙って産んだとなれば  より愛しくなるのが…いや…  妻には『要らない』と言いながら  子供を望んでいた自分を…  無視出来ないというか…  まったく…巧く説明が…」
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