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直樹が隣の優子と 同じタイミングで 顔を見合わせたのは、 同じ気持ちをもったから。 (不器用な…) 二人はこの仕事についてから こういう人間を、多く 目の当たりにしてきた。 そして、この正直さこそが 最大の“残忍”であると。 「デパートで子供を抱いている  菜々子さんを見かけて…  直感したのです。僕の子だと。  すると、近くでみたい、  抱いてみたいと…」 ここで応接室のドアが コンコンコン、 「澤菜々子さんと言う方が  至急と電話が」 事務員が声を。 「 ?! 」 机の電話に優子が出ると 「藤川先輩の奥様が  いらしたの!」 菜々子の大きな声が響いた。
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