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8.バーチャルライフ
全ての準備を終え、迎えた金曜日。
友人はこの日のためにわざわざ泊まりに来てくれていた。初めての配信ということで緊張していたが、それ以上にパソコンの横でソワソワしている友人を見ると少し、リラックスできた。
午後8時50分。配信アプリを起動させる。
私はこの日、Vライバーの『白井ミルク』としての活動をはじめる。
午後9時。遂にその時が来た。
「こんばんわ!初めまして。今日が初配信の『白井ミルク』です!」
見に来てくれた人は宣伝した効果もあり15人ほど来てくれていた。すると後ろから友人が私にしか聞こえないような小さな声で『こんなに来てくれてるなんてすごいよ』と呟いた。
"今日から私はバーチャルの世界では『白井ミルク』として生きる。"
初配信の日のことは正直、あまり覚えていないというのが本音。でも必死だったこと、そして初めての体験に興奮したことは覚えている。
『白井ミルク』と『現実の私』
現実の私は夢や希望と言ったものに対して消極的だった。対して白井ミルクは夢や希望に溢れ、バーチャルの世界に飛び出した。
今はまだ私は白井ミルクとかけ離れた存在かもしれない。白井ミルクを『演じている』だけなのかもしれないけれど、私は遂に一歩を踏み出した。
自分の人生の主役になるために。
この物語は私がVライバーとして過ごしてきた日々を綴ったものである。
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