5.頼もしき友人

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5.頼もしき友人

午前6時、いつもは目覚ましの音が鳴ってもなかなか起きれないのに今朝は自然と目が覚めた。 息を吸い込むと部屋の少し冷えた空気が体の中に入る。 もう10月も下旬、窓の外の木々は紅葉し始めていた。 私はもう少し横になりたい気持ちを抑えながらゆっくりと起き上がり、着替えを済ませ、二階の自室からリビングへと降りていった。 「おはよう。」 まだ寝ぼけまなこの私はキッチンでお弁当を詰めている母に声をかけた。 「おはよう、今朝は早いのね。朝ごはんできてるわよ。」 そう言って母はお弁当を詰める手を止め、焼き立てのトーストとコーヒーを机に置いてくれた。 私はトーストをかじりながら、昨晩のをことを思い出していた。 "きっとできるよ" 朝起きてから何度もその言葉が私の頭の中で繰り返し流れていた。 朝ごはんを食べ終え、身支度を整えると「少し早いかな?」と思いつつも家を出ることにした。 玄関を出ると例の友人が待っていた。 「どうしたの!?」 私は驚いて友人に「おはよう」という前に声をかけた。 「おはよう!ごめんね!居ても立っても居られなくて。学校で待ってるより一緒に行きながら話す方が良いかなって思って。ごめん。迷惑だった?」 友人は興奮気味ながら少し申し訳無さそうに私の問いに答えた。 「そんなことないよ。でもびっくりしたよー。いつから待ってたの?」 「待ってないよー。今来たところ。丁度連絡しようと思ったら出てきてくれたから私もテンション上がっちゃって!」 そんなやり取りをしながら二人は学校の方へ歩き出した。 「それでね、私が調べてた中でこれが良いんじゃないかなぁって思ったVライバーのなり方とか教えるね!」 友人はそう言って私にスマートフォンの画面を見せてきた。 そこには無料のVライバーのアバター制作アプリが表示されていた。 「無料でできるの?」 私は疑いつつ友人のサイトを見ながら答えをまったが、友人はそれ以上の答えを用意していた。 「無料だよ!まぁ、使えるパーツとかに制限はあるけど割りと自由度は高く作れるし、それにこのアバター使って配信しても問題ないからね。現に有名な人でも使ってる人いるから大丈夫。問題があるとすれば起動するたびに広告流れるからそれを待たないといけないってことくらいかな」 友人の説明は私を納得させるのに充分だった。 「それとね!どこで配信するかだけど、配信スタイルはどんなのにするの?ゲーム配信とか歌枠とか」 私はそこまで決めていなかったので少し考え込み…… 「ゲームしながら話せなさそうだし、歌は恥ずかしいからなぁ。お話しメインがいいかな。」 そう言うと。友人はスマートフォンをいじり、また私に見せてきた。 「じゃあオススメはここかなぁ。大手の中でも雑談配信してる人が多いし、Vライバーもたくさん配信してるところだよ。配信できる時間が決まってるけどここかなぁ」 「時間が決まってる?」 「そう、最初のうちは一枠30分までなんだ。実績つくとどんどん増えていく仕組み。どう?」 「初めてやるから30分でも多いくらいだよ。そこにしよう!」 昨日悩んでたのが嘘みたいにトントン拍子に話しが進んでいく。こんなにこの友人を頼もしいと思ったことないなぁ。と思いながら二人はまだ、人の少ない学校に着いた。
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