6.友人の告白

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6.友人の告白

昼休憩中に友人と話して放課後、私の家で早速アバターを作ることになった。 そして帰りのホームルームが終わると友人とコンビニに立ち寄ってから帰宅した。 「さぁ!作ろうか!」 カバンを置くなり友人の元気な声が部屋に響いた。 休憩時間中に使い方に目を通していたので思いの外、スムーズにアプリを使いこなすことができた。 「どんなのにするか決めてるの?」 友人からの問いかけに私は少し恥じらいながら 「まぁね、猫耳の女の子にしようかなって。使えるパーツにもあったし、それに猫が好きだから。」 「いいね!ケモミミ!じゃあ作っていこうかー」 友人の圧に押されながらも二人で相談しながら何度も作り直し、2時間ほどで「私の分身」は完成した。 「無料のパーツだとここが限界だね。でも結構良いんじゃないかなぁ?」 私と友人は画面に映るアバターを見ながら遂に一歩を踏み出したことを実感していた。 「完成はしたけどこれ……どうしたらいいの?」 帰りにコンビニで買ったお茶を飲みながら友人に聞く。 「えっとね、アバターのデータを保存して配信ソフトに取り込めば大丈夫だよ。ついでにやっちゃおうか!」 友人もお菓子を食べながら私のパソコンの方へ向かっていく。 「ねぇ、ここまで調べてたのになんで配信しないの?」 私はふと、友人に疑問をぶつけてみた。 「えっとね、実はやったんだ、配信。でも……思ってたのちがくて。それでやめちゃった。」 パソコンを触りながら少し寂しげな声で友人は私の疑問に答えてくれた。 「思ってたのと違った?それってどういうこと?」 「これ以上聞いちゃまずいかな?」とは思いつつもこれから配信するという不安から私は友人に聞くことを我慢できなかった。 「うん。私もレイみたいになれると思ったんだけど、人はあまり来ないし、雑談も得意じゃない、それにコメント拾いながら話題を広げることもできなかったんだ。」 友人は私の方を振り向き、続ける。 「はじめる事も大事だけど、そのあと続けることも大事だと思うの。初めからうまくいくなんて思ってなかったけどわたしには続けていくことができなかった。それよりもお手伝いするほうが性格にあってるのかなって。だから私は嬉しかった。Vライバーになりたいって言ってくれて嬉しかったかの。黙っててごめん。」 友人は今までの明るい表情ではなくとても真剣な顔つきだった。 私は飲みかけのペットボトルのお茶を置いて笑顔で答える。 「謝ることなんてないよ。むしろ心強い。私一人じゃ何も分からなかったし。だからありがとう。これからも助けてほしいな。」 そう言うと友人の表情にも笑顔が戻った。 「もちろんだよ!じゃあ早速データ取り込んじゃうね!配信サイトにもアカウント作っちゃおうか!」 すると友人はパソコンの方に身体を向け作業を始めた。私も立ち上がり、やり方を教えてもらいながら心強い味方を得た気分だった。
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