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0.プロローグ〜主役にはなれない〜
「みんなー!こんばんわー!」
午後9時、もはや習慣となったいつもの挨拶をモニターの前にいるリスナーにする。
"こんばんわー!"
"今日は何するの〜?"
"今日も元気だねー"
"かわいいよー"
様々な反応が返ってくる。
それは私にとっては毎日を生きる糧だ。
学校では特に目立つ存在ではない。かと言って友達が居なかったり、浮いた存在でもない。
所謂どこにでも居る女子高生だ。
こんな毎日が嫌いというわけではなかった。
人並みに遊び、人並みに恋をして、人並みに思い出を作って卒業するのだろうなぁ
漠然とそう思っていた。
それで良いと思っていた。
「わたしは主役にはなれないんだろうな」
ニュースやネットで活躍する同世代を見てふと、そんなことを思う自分がいる。
でも悲観しているわけではなかった。むしろ、そんな彼らのことを応援している。
彼らは才能があったのかもしれない。でもきっと目標があってそれに向かって努力して活躍しているのだと。
「わたしにはできないなぁ。すごいなぁ」
まるで童話やファンタジー映画のキャラクターを見ているような感覚だったから。
そんなある日、友人から"勉強のお供"を教えてもらった。
ちょうど明日は英語の小テストがある。
わたしはその夜、その"勉強のお供"を試してみることにした。
友達曰く、「21時になったらこのURL押してね」ということだった。
そして21時。恐る恐るそのURLをタップしてみる。
「みんな!こんこん!Vライバーの白狐レイだよー♪今日もよろしくこん〜」
スマホの画面から部屋中に元気な声が響き渡った。
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