chapter6 クロスロード

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・・・・・・・ 「パパ!遊んで!」 綾乃が嬉しそうに言う 「いいよ」 熱が下がって翌日には食欲も取り戻し 健康になってきた次郎が静かに綾乃を見下ろし 微笑んだ インフルエンザは熱が下がっても抗体が体に できる間5日間は出勤停止になる 次郎はまさに数年ぶりに有休を使って 家でのんびり過ごした 「妖精ごっこよ!」 病み上がりでもずっと父親が家に居るので すっかり綾乃は有頂天だ 嬉々として次郎に言う 「そうよ!あーやが妖精の女王様で パパが悪のココア大王でブリーが ペットの猫よ!」 「ニャー」 隣で寝転んでファッション雑誌を読んでいる ブリジットがお愛想程度に言った 今はガチャピンの着ぐるみを着ている 「ルールを教えてくれ パパは病み上がりなんだ」 次郎が身震いした優樹菜はキッチンで そのやり取りを聞いていて 思わず吹き出しそうになった どんな遊びも難なくこなす彼だが さすがにこれは苦手そうだ 綾乃が部屋から妖精の衣装に着替え ティアラが沢山入った籠を持ってきた 「いったい何個ティアラがいるんだ?」 次郎は目をぱちくりさせた 「え~と・・・これはお出かけ用 これはティーパーティ用・・・ あ!あった!戦闘用! 」 綾乃の得意げな姿を見て優樹菜はおかしくて もう笑ってしまった 「あら!女の子はいくつティアラがあっても いいんですよって・・・ まぁ先生!何をしているんですか?」 次郎が自分の部屋に入って出てきたと思ったら キチンとした外出着を着た姿を見て 優樹菜は仰天した 「先生!どこに行かれるんですか?」
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