chapter1 独りぼっちのクリスマス

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「それじゃ、 あなたはクリスマスも年末も病院が休みの間 ずっと副業のアルバイトをするってわけ?」 佐々木優樹菜と同じ看護師仲間であり 親友の加奈子は目を丸くして言った 「仕方がないわよ! どうしても年明けには引っ越したいの そのためにはお金が必要なのよ」 佐々木優樹菜は加奈子と肩を並べて 総合病院のメインホールを突っ切って 救急車到着口に向かって足早に歩きながら ぼやいた 「でもこの病院は看護師の副業は 禁止されているから病院に バレたらクビになるわよ 」 加奈子は渋い顔で優樹菜を睨みつけて言った 「それはわかってるけど・・・・ でもあの大家にはもう我慢がならないの あなたも知ってるでしょう? 」 「大家って前に聞いた時は おばさんって言ってなかった? たしか・・・ とても良くしてくれるって? あなたのアパートはこの病院から近いし とても環境は良いと思ってたけど?」 優樹菜が顔をしかめる 「最初はそうだったんだけど… その息子が帰って来てるのよ 会社員だったんだけどこのご時世でしょ? 仕事を辞めて親の管理職を引き継ぐだか なんだかで・・・ 大家のおばさんが息子を連れて挨拶に来た時から もう・・・なんていうか・・・ 息子の私を見る目つきが気持ち悪いったら・・・ それに母親の大家さん私に何て言ったと思う? 」 加奈子は笑って言った 「なんて言ったの?」 「最上階の広い部屋をうちの息子と 住んだら家賃をタダにしてあげるって  ああ・・ 今思い出しても鳥肌が立つわ」 「ええ?んでその息子は?どんな感じなの?」 「いわゆる… なんか・・・・オタクっぽくて 気持ち悪いのよ!」 「ひえ~!絶対ごめんだわ!」 二人は肩をすくめて 悪寒が走るのを必死になだめる仕草をした
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