0人が本棚に入れています
本棚に追加
***
相変わらずユイの爆弾発言が気になりボーッとしている私に向けて、ユキトまで爆弾発言を持ち込んでくる。
「まあ、そこがみなみの可愛いところだけどね」
「へ……?」
「何だ、その顔」
ユキトはいつもと変わらない。
まるで何事もなかったかのように平然としている。
だけど、聞き流せるはずがない。
だって、ユキトの言ったフレーズは......恋する乙女は勿論、女の子には魅惑の言葉なのだから。
「何だと言われても……。ユキトがキザなセリフを平気で言うから」
「……キザ? どこが?」
「どこが、って。……本気で言ってる?」
「勿論」
『可愛い』というフレーズが恥ずかしくて言えないなんて、我ながら幼すぎる羞恥心だとは思う。
だけど、ダメージを最小限にしたくて敢えて会話から外してみたけど......。
ユキトの反応を見れば見るほど、敢えて外す方が子供染みて見えるから不思議なものだ。
「昔からみなみは突拍子もないことばかりするからなあ。目が離せないよね、ガチで」
「あ、えっと......。その節は大変お世話になりました」
『ガチ』というフレーズを言うユキトの目が笑っていない。
そして、多大な迷惑と心労を掛けた覆らない事実がユキトにあるとなると......。
行うことは謝罪一択しかないだろう。
「別に謝る必要もないんだけどね。ヤキモキしても無駄だと結構早く悟ったし。そうなったら」
「そうなったら?」
「後は......愛でるしか道はないというか」
「え、え、え……!?」
最初のコメントを投稿しよう!