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「……」
人がいがみ合うことほど、虚しいことなんてないだろう。
ならば、親友と幼なじみが仲良くなるなんて嬉しいはず。
ましてや、親友から幼なじみへの好意を伝え聞いていて......。
そこまで考えて、自分自身の醜さに心が打ち砕かれそうになってくる。
今更素直になっても気持ち悪いと思われると、変化を拒んだ。
現状で納得する言い訳ばかり探していた。
そんな私が、ユイに嫉妬してる。
何の努力もしないくせに、素直に可愛く話せるユイに向けて......。
(うわあああああ……っ!!)
ユイに『実は私もユキトが好きなんだよね』と言えば、スッキリするかと言えば、そうでもない。
そのタイミングは光の速さで過ぎ去っている。
とはいえ。
実際問題として、いつだって言える。
ただ先延ばしにすればするほど、バツも悪くなれば、信頼も欠ける。
だからこそ、光の速さで過ぎ去っている。
今、この瞬間さえも重大な過失時間のように......。
「みーなみ、ちょっといいか?」
ごちゃごちゃ悩んでいる間に、授業は終わっていたらしい。
目の前には久しぶりに見るユキトの作り笑顔......。
「……? ユキト、何?」
「まあ、ここじゃ何だから。ちょっと付き合え」
「へ?」
ユキトの誘いを断れるはずがない。
嫌な予感がしつつも、付いていくことにした。
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