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ハッキリ言って、詰みました。
ユイの素直さに嫉妬してると白状しました。
そして、その後。ユイが恋敵であると確固たる予想を立てられました。
「はあー......。何とも、馬鹿くさい流れだなあ」
大きなため息をひとつ吐き、ユキトは盛大に脱力する。
その脱力が、私への心配から発生した事実に申し訳なさが募ってくる。
「ああ、勘違いさせたならごめん。別に、みなみが恋することを否定したわけじゃないから」
「え? じゃあ、何が馬鹿くさかったの?」
「んー。 親友さんみたいに素直にならなきゃ恋も出来ないと思い込むところかな?」
「へ? 何、言ってるの? 素直にならないと始まるものさえ始まらないのに……」
「んー......。だから、素直になれなくても始まる恋を見つける気はないのかなあと」
「えええ......。 それこそ油田を見つける以上に難しいことじゃ」
「そうそう。その思考が残念すぎるんだよなあ」
そう言って、ユキトは切なそうな表情を浮かべている。
ユキトは本気で憂いてくれている。だけど......。
「いや、残念も何もそうとしか考えられないわよ」
私の脳みそはどうやら思考不能に陥ってしまったらしい。
考えることを全力で放棄する方向でシフトする。
「ま、いいんだけどね。そもそもみなみが素直になるとか......。油田発掘以上に大変な難作業になること、確実だし」
「ちょっ、何で急にディスりはじめるのよ!?」
「別にディスったつもりはないんだけどね。 今後の展開を予想して、計画立ててただけで」
「えー、適当な言わないでよ?」
ユキトの真意が【素直じゃないところを含めて】自分に向けた恋心だったことに気付くのは、まだまだ先の話。
ユキトに知らず知らずに恋愛コントロールされつつ、ユイに真実を打ち明けるタイミングに悩みつつ、学園ライフを 過ごす私の脳内は、まさに青春の渦中で大爆発し続けていた。
【Fin.】
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