死隷

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 「おい?あんた記者か?」 手帳を見てると、ふと、俺に話しかけてくる男がいた。振り向くと、その男は獣の毛皮を着て顔は浅黒く、頬はこけ、顎には無精髭を生やしながら、なぜか目はギラギラと輝いていた。  「俺ぁ、又六て言うんだが、たまたま後ろのほうの席であんたらの話を聞いていたんだけど、何か面白いもんを探しに東京の新聞社からこの地に来たみたいだが、すっかり空振りしたみたいだな」 「立ち聞きしてたんですか?人が悪いな、なら話しはもう見えたんでしょ?くだらない大蛇の取材をして、結局はその大蛇を見つけれなかったていう結末を。馬鹿にするならやめてください。今はそんな気分じゃないんで」 俺はてっきり地元のマタギが何かが、俺の話を聞いて冷やかしに来たのかと思った。
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