死隷

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 「よーく来たな。まぁ中に入ってくれ」 又六さんの家の中には、囲炉裏と天井から吊るされた干魚や、壁には大きな熊の毛皮が飾られ、外から見た掘立て小屋とは想像もつかないほど、立派な中身だった。  「宜しくお願いします。改めて東京の新聞社勤務の前澤と申します。それにしても分かりにくい場所ですねここは、それに周りの畑は又六さんの所有なんですか?」 「分かりにくいところにあえて住んでるんじゃ、わしは余り俗世間とはなるべく関わりたくないからな。自給自足生活しちょる。外の作物は全てわしが育てたもんじゃ」 そうは言うものの、あれだけの野菜の量を見れば、又六さんが1人で食すには余りも多すぎると思った。これだけの野菜の量を作ってるのはきっと理由があるに違いないと思いながらも、さっそく昨夜聞いた"恐ろしい場所"の事を尋ねた。
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