死隷

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 さらに歩き続けると、ふと、又六さんの歩が止まった。  「いよいよだ。ここから先に村はあるべ」 村があるような場所にはまったく見えなかった。ただ例えるなら緑の大きなカーテンのような、大きな崖を草や木々が覆い隠すほどの一面だった。  「これ行き止まりじゃないのですか?」 「いや、この上を登った先にその村がある」 冗談じゃないと思った。くたくたになるまで歩き続けた後に、この巨大な壁を登るなんて、しかもゆうに30メートルは超えてる高さで木の根っこや草で覆いつくされたこの壁を登るなんてのは到底俺には無理だった。
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