死隷

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私は記者としてはまだかけだしのペーペーだった。希望する部署への配属とは大きくかけ離れた正直どうでも良いような部署に配属されやる気というものも、記者としての充実した日々なんかは到底無縁だった。 昭和10年の日本や世界は激動の時代の幕開けでもあった。国内では第一次世界対戦の敗北国であった。ドイツに新しいリーダーが誕生し、再び再軍備発言の元軍事力を強化しだしたのもこの年からであり、国内では忠義に尽くした "ハチ公" という犬が死に国民の哀しみを誘った。 また、満洲国皇帝が来日するという事もあり、国内は大きく盛り上がりを見せ各方面の記者達は大忙しだった。 そんな中に私は群馬の山中に出るらしい、大蛇の取材に行かされるはめになったのだ。まったく記者として大きなニュースを扱い故郷に錦を飾れる私の夢とは大きくかけ離れ、呆れるばかりであった。 しかし、この出来事が後の日本軍まで動かす大きなきっかけになるとはこの時はまだ知る由もなかった。
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