死隷

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「新聞社の方にわざわざ東京から来てもらって嬉しいです。まさか、俺の見た大蛇の話しを間に受けて来てくれるとは思わなかったよ」 開口一番にその目撃者と名乗る男はそう言ってきたが、まさにその通りだった。私も内心ではこんなくだらない話しなんかで、わざわざ金を出して取材させる会社もどうかと思ったが、それにはわけがあった。 どこの新聞社も読者を集めて購買に繋げようと、とにかく人が興味を持ちそうなものには、しっかりと取材をして、形になれば記事にしようという考えが多く、新聞社同士の競争もまた激化していた。さらに、政府や軍部に都合の悪い記事は書けないので、他の記事で勝負するしかなかったのである。
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