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「何故ですか?彼は未だに誰ともお付き合いをせず、独身を通しています。今日のこの日が過ぎるのを待っているかもしれませんよ」 「そうね。どうだろう」  タイムリープに巻き込まれてしまっても、大概の人は気がつかない。  私の場合は、どうなるんだろう。前回の林くんとの結婚の記憶を持ってタイムリープするのか、全て忘れるのか…。 「どんな未来であれ、キミが幸せになる事を祈っていますよ。…では、失礼致します」  どんな未来であれ、か。  須藤くんが言うと、なんか意味ありげで怖いな。  結局須藤くんは、林くんにお礼がしたかったのか、人間性を試したのか、苦しめたのかなんだったのかわからないまま。  でも私を助けてくれたし、悪いようにはならないってことよね。 「そろそろお時間です。ご新婦様、参りましょうか」  いつの間にお世話係の人が居たんだろう。  …もしかしてずっと居た?  須藤くんは本当に今居たのだろうか。  白昼夢?  私は教会の入り口の外に待機する父の元へ誘導された。  2月の真っただ中なだけあって、半端なく寒い。 「キレイだよ、葉子」 「うん、お父さんも格好いいよ」  私は緊張しながら、父の腕をとる。  この扉が開くと、教会内にパイプオルガンの音が鳴り響き、私達は皆が祝福する中を歩き、翔の元へ引き渡される。  大好きな、翔の元へ…。 「ごめん、お父さん。ちょっと待っていて」
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