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エピローグ
結婚式も無事終了し3次会が終わって、日付けが変わる頃になんとか翔と住むマンションに帰ることが出来た。
翔とはかれこれ4ヶ月前から同棲している。反対する父を、式の前後は忙しいだろうから、と私が説得した。
「…林が来ていたのか?」
風呂も上がり、やっとひと息ついた。
「うん、ごめん。どうしても…会って気持ちに整理を付けたかった」
膝は痛むが、もう心は痛まない。きちんとお別れが出来たんだ。
25年しか生きていないけど、そこに樹と過ごした8年が追加される。
その8年は確かに樹を愛していた。
前の人生で、樹が勤める会社においてシンガポールでの新事業が計画されていることは知っていた。
「奴らは土日返上で大変そうだ」と、樹が新事業に関わる社員の事を1度だけ言っていたのを覚えている。
自分も挑戦したい、なんて聞いたことはなかったけど、心のどこかでそう思っていたのか、それとも仕事に没頭するためか…。
どちらにしても今、樹はちゃんと自分のための人生を過ごしてた。
その事は決して私の手柄というわけでは無いけれど。
それを知れて、私の気持ちは落ち着いたんだと思う。
…正直、残念がる私もいた。ちょびっとね。
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