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勉強会
「ハコ…」
あ、これ、この雰囲気。
ちょっと逃げられない…ヤバい、心臓バクバクし始めた。
◇ ◇ ◇ ◇
遡る事、16日前。
2年生になって最初の中間テストは惨敗だった。
「1年の時も追試三昧だったけど…これはもう無理。無理すぎる」
月曜の昼休み。
中庭のベンチでひとり、膝の上にお弁当をのせ、食べながら午前中に渡された短冊…テスト結果を見て絶望を感じている。
特に数学。数Ⅱ、数B共に20点以下。
1年の時は追試でも赤点を取り、出された課題をこなす日々だったけど…。
「嫌だぁ。なんでこの高校選んだんだろう」
答え:制服に釣られて。
かなり背伸びして受験したこの学校。バス通学にも憧れてたけど、正直バス通学ってしんどい。最近は時間に左右されない自転車通学が羨ましく感じる。
お母さんも最近は耐性がついてきたのか、赤点取っても以前のように怒らなくなってきた。諦められてる、というのだろうけど…。
「エグいな」背後から声がした。
驚いて振り向くと、私が座っているベンチの背に、林くんが手をかけ立っていた。
「ちょっ…やだ、勝手に見ないでください!」
私は慌てて短冊をポケットにしまう。
「あ、ごめん。なんか遠くから見て、玉手さんが項垂れている風だったから、また何かやらかしたのかと思って」
やらかした、といえばやらかしている。盛大に。
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