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「アイさーん、またアリサさんの眉間に皺が寄ってますよ」
私の目の前で手を振ってるのすら、かわいい。好きになってからは、坂を転がるみたいにあっという間に好きが高まっていく。全身、楽くんに染まってるみたいに。
よくないよくない。二人に手伝ってもらってるんだから、ちゃんと結果も出さなきゃ。
「アイ、やめますか?」
「なにが?」
「動画」
アリサがぽつりと少し悲しそうな顔で言葉を告げる。私が浮かれてるから、アリサばっかり困らせてる。やめたいわけじゃない。でも、身が入らなくなってる。楽くんをバッサリ振ってしまえばいい。わかってるのにその選択肢を選ぶこともできない。
「アリサ、あのさ」
「休みましょう。しばらく。多分、今のアイには無理です」
「無理じゃない、だってアリサと始めて。いろんな人が見てくれて、そりゃあアンチだっているけどさ。楽しいんだよ、楽しいんだけど」
ちらり、と楽くんの方に視線を移す。私の言葉を分かってるかのように、楽くんが頷いた。
「あ、俺もうお邪魔しませんね! 差し入れとかは、ドアノブにかけときます。邪魔なんですよね、気づいてたのに優しさに甘えちゃったな」
「違う違うそういうことじゃなくて」
「いいんです、頑張りますって言って張り切り過ぎちゃいましたね。帰ります! じゃあまた!」
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