5人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああああ、やめようかな」
親友のアリサは、食べづらいはずのミルフィーユを丁寧にお上品に口に運ぶ。私には、こんなに綺麗に食べれない。だから、食べ方が汚いとか言われてもしょうがないなって。むしろ、そう言ってくれたらどうやったらもっと綺麗に見えるかなって勉強になる。
「大きいため息も下品だよ、アイ」
「だって、シュークリームが可哀想って意味わかんなくない?」
「そうねぇ、口の周りベタベタに汚してたんじゃないの」
「あのねぇ、いくらなんでも配信の時は気をつけてますー」
はぁっともう一度大きいため息を吐いてから、アイスココアをゆっくりと口に含む。アイスがちょっと溶けかかっていて混ざり合ってクリーミーだ。
「またお髭作ってるよ」
おしぼりで私の口元を拭い取ってくれるアリサにニコニコと笑顔を返す。面倒見のいいとこが好き。
「アイちゃん、アリサちゃん今度の企画用にこれはどう? でっかいココアとミルフィーユ!」
私たちのやりとりを聞いていたマスターが、私たちに向かってスケッチブックを見せつける。
「ミルフィーユはパス。綺麗に食べれない」
「ミルフィーユケーキとかなら大丈夫じゃないの?」
「一枚ずつ剥ぎたい。うそうそ、確かにミルフィーユケーキとかならいけるかも」
「また僕が作るからさぁ、本当にやるならうちに相談して! アイちゃんの動画のおかげでお客様増えたんだぁ」
最初のコメントを投稿しよう!