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御年六十歳になろうというマスターは、年齢に見合わず若々しい精神をしているらしい。白髪のオールバックでカッコいい見た目とは正反対に、楽しそうにルンルンスキップをしそうな勢いでカウンターに戻っていく。
「マスターも出てくれたら多分もっとバズる気がする。あとアリサも。めっちゃかわいいーとか書かれそう」
「私は遠慮します」
「僕もほら、そんな歳でもないからね。協力はするけどね!」
マスターがカウンター越しにガッツポーズを決める。そんな大きな声で話してるつもりはなかったのに、意外と届いてしまっていたようだ。
ペコペコと無言で周りのお客さんに頭を下げる。一人だけ、視線がバチっと噛み合ってしまった。マッシュボブの同い年くらいの男の子、見覚えは、ある気もする。
じーっと見つめてしまったようで、視線を逸らされて慌ててアリサへと顔を戻す。
「知り合い?」
「わかんない、見たことある気はする」
「シュークリームの人だったりして」
アリサが口を隠しながらくすくすと笑えば、ガタンっという音がして驚く。振り向けばさっきの男の子が、パーカーの帽子部分を引っ張って顔を隠してた。
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