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「え、まじ?」
「私の声そんなに大きかったかしら……」
私は真意を確かめたくて立ちあがろうとしたところをアリサに引っ張られてガタンって音を出してしまった。アリサは全然違うところに驚いてたくせに、私の行動は止めている。
「アンチと知り合ったところで良いことなんてないわよ」
「でも」
「でもも、だってもなしです。はい、食べて」
唇にミルフィーユを押し付けられて、パクリと食べてしまう。もぐもくと咀嚼すれば、サクサクの生地にイチゴの甘さ。生クリームのこってりとした味わいが口の中でで混ざり合って幸せな味がする。
「おいしい、マスターのミルフィーユやっぱり大好き」
「私も大好きよ、だから落ち着きなさい」
ドウドウと牛を宥めるかのように私を宥めるのは気に入らないけど、アンチに何を言ったところでどうにもならない。口の中の渇きをココアで薄めて、こくんと頷いた。
「あの」
あーもう、こっちは気にしないで居てやったのに。わざわざ話しかけにくるバカがいるかな、いるよね、だってわざわざアンチコメント書くくらいだもんね。
無視もできず顔を上げる。相変わらずパーカーで顔を隠した男の子はおずおずと言った雰囲気だ。
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