5人が本棚に入れています
本棚に追加
「アンチじゃないです」
「は?」
「だから、俺はアンチじゃないです。ファンです。アンチなんて言わないでください」
肩を震わせながら語る彼に、ため息がまた出そうになった。なんて返せば良いんだろうか。
「じゃあ、なんでシュークリームが可哀想なの?」
答えたのは私じゃなくてアリサだったし、いつのまにか近くにいたマスターは彼にアリサの横の席を案内してる。
「はい、アイスココアとミルフィーユ」
「アリサと私とメニュー、一緒じゃない!」
「楽くん、甘党だもん」
「楽、くん? 常連なわけ?」
「そうそう、アイちゃんが買ったクリームパンとシュークリームのお店の息子さん。それに、うちのお菓子の一部はこの子が作ってくれてるよ」
マスターの言葉にますますポカンっとした口が閉じなくなる。自分が、もしくは、自分の親が作ったシュークリームが私みたいなのに食べられるのが気に食わなかったってことか。
「ごめんね、他の所のお菓子に変えるよ、今度から。そしたらもうそんなコメント書かないでしょ」
「違うんです、俺はアンチじゃなくて、ただ」
最初のコメントを投稿しよう!