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「ごめんね楽くん」
「えっと名前、あのアイさんって呼んでて大丈夫ですか」
「楽くん、って名前しか知らないから呼んでたけど嫌じゃない? 私のことはアイでいいよ」
「名前で呼んでもらえるのはすごく嬉しいです。俺ほんと入学当時からアイさんのこと好きで」
ん?
んん?
んんん?
入学当時から、アイさんの、こと、好きで?
私が動画配信を始めたのは数ヶ月前だ。入学してからもう二年も経っている。つまり、動画配信で私のことを知ったわけではないってこと?
「アイ、告白されてるけどどうするの? 付き合っちゃうの? カップルコラボって事での配信もいいわよね、結構コメント来そうだわ。アンチも湧きそうだけどそこはスルーしましょう」
アリサが勝手にうんうん頷いて、企画を書き足しているけどおかしい。告白されてる、わけではない、のか?
「えっ? 告白なの?」
「いや、違います、違くないですけど、あの見てるだけで十分なので。いや、付き合えたらすごい幸せ、ですけど……」
「考えさせて」
「えっ、いいんですか」
「考えさせてって言ったんだけど?」
「いやだって、振られるって思ってたから。あの、俺、がんばりますから」
ニコッと笑った顔に、もう既に恋に落ちた音がした。アンチだと思ってたからのギャップとか、好きと言われたからとか、自分の単純さが憎らしい。
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