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楽くんはあの宣言通り、めちゃくちゃ頑張っていると思う。それも、毎日のようにお菓子の差し入れや、今では動画の編集の手伝いもしてくれてる。
「アイさん、これどうですか? 今日のは特に自信作です」
差し出されたのは、チーズケーキ。私の好みを把握されていて嬉しさと恥ずかしさが胸の中でぐるぐるする。甘酸っぱいのが一番好きだ。でも、生クリームとかの方が人気だから、いつもそればっかりを撮影に使ってるのに。
嫌になるくらい私のことを分かってる。
「はい、あーん」
「いい、いいよ、自分で食べるから」
「ダメですか?」
正直、最初の印象とは全く違う積極性に戸惑ってる。
仕方がなく口を開ければ、レアチーズのなめらかな食感とブルーベリーのプチンっと弾ける感触。甘酸っぱくて、幸せの味がする。
「アイさんのその笑顔、俺本当に好きです」
フォークを構えたまま、ニコニコと私の顔を見つめてそんな殺し文句を吐き出す。本当に同一人物? なんて言おうものならシクシク泣くふりをするんだろう。そんな性格すら分かってきてる。
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