星の声が聞こえる

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星の声が聞こえる

人類は地球を見限り、宇宙に新天地を求めた。 地球の国々は独自に宇宙開発、技術革新を進め移住先の星の探索、環境整備を整えた。 地球では全世界を巻き込んだ大戦が発生。 大戦により地球は化学物質に汚染された。 異常気象が続き、人類は絶望の淵に落とされた。 地球の国々はその現状に対し地球を放棄し、宇宙に飛び立つことを決意した。 一部の富、権力を持つ者は生きながらえるために宇宙へ。 何も持たない者は地球にしがみ付くしかなかった。 移住派と残留派に分かれ、全世界が再び混乱に陥った。 だが権力を持つ移住派が弾圧し、国内の資金の大半を宇宙事業に注ぐ事にした。 目まぐるしく発達する事業とは対照的に市民は困窮し各地でデモや内乱が生じた。 しかし、移住派によって悉く潰され大半の人間が見捨てられる事になった。 〇 客観side 「というわけだね。 こうして我々は宇宙に移住した」 「またこの話ですか博士~」 惑星ゲノム。 人類が新天地として移住した星の一つである。 「納得する結果を得るまで何度でも議論するぞ! 一度の成功のために99回失敗してもいいんだ!」 広大な研究所。 その中の一つの部屋に男女がいた。 男は長い棒状の物を持ち、白いボードに書かれた文字を指す。 女は机に伏せて怠そうに話を聞く。 「毎回納得する答え出ないじゃん。 博士は変わり者なんですよ。 だから他の研究者から嫌われるんです」 「余計なこと言うでない!」 惑星ゲノムには宇宙について見識を広めるという国是がある。 ゲノム首脳陣も研究所の拡充、資金の援助を惜しまなかった。 ゲノムお抱えの研究所に所属するキサラギとリーネは他の研究者とは違い隔離された存在だった。 二人の研究対象は人類が誕生したとされる場所、アースの研究だった。 「大体アースなんて滅んでますって。 もう6千年くらい前の話ですよ?」 「先入観で勝手に決めつけてはいかんぞ! 人類発祥の星、アースについて研究出来ることを光栄に思うのだ」 「研究者は二人、広い施設に軟禁状態。 やることは見たこともないアースについてひたすら考えるだけ。 これが研究ですか?」 「リーネ! お前が異能のせいでここに飛ばされたのは知っている……」 「飛ばされたって表現は自覚がある訳ですね?」 「生意気な小娘が~!」 キサラギ男32歳、リーネ女23歳。 キサラギは生意気なリーネにいつも翻弄されていた。 「異能のことについてはお互い触れない約束ですよね?」 「うぐぐ…… 私が悪かった」 「これで23回目ですよ? もう学習してください」 リーネが呆れてため息を着く。 「もう帰りたい~」 机に伏せて足をブラブラさせる。 キサラギは呆れてしまい独自の仮説をボードに書き始める。
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