星の声が聞こえる

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しばらく時間が経過すると、二人の研究室の扉がノックされる。 「ひぃ! ついに追放の時でしょうか!?」 ノックの音にキサラギが震える。 リーネが入り口に向かい扉を開ける。 「失礼する」 3人の男女が研究室に入り勝手にソファーに座る。 「ちょっと……」 状況が呑み込めずリーネが困惑する。 「私達はゲノム宇宙開発事業部の者です。 代表のタリスと申す。 左右の二人は護衛だ。 気にするな」 「リーネ! 飲み物と茶菓子を用意せい!」 「はい~」 リーネが慌てて研究室から出ていく。 「一体どのような用件で……」 キサラギが恐る恐る伺う。 「とりあえず座れ」 「はいっ……」 キサラギの表情が曇る。 「クビは嫌だクビは嫌だ……」 キサラギが念仏のように唱える。 「ゲノムの首脳部がある判断を下した」 「待ってください! アースは必ず今もありますから!」 キサラギは立ち上がり、自身達の正統性について語りだした。 「落ち着け。 誰もクビにする話と言ってないだろう。 キサラギ、リーネ両名にアース探索任務を与えるとのことだ」 「へっ?」 「全力で支援する。 アース探索のため、宇宙に出ることを許可する」 「ええっ!?」 キサラギが衝撃のあまり転げ落ちるように尻餅を着く。 「細かいことは今は言えない。 私は両名に意思があるか確認してこいと言われた」 「もちろん賛成です!」 キサラギは立ち上がりタリスに握手を求める。 「助手のリーネはどうだ?」 「私から口利きしておきます」 「分かった。 なら後日通信連絡を取る」 「はいっ!」 ゲノム側の三人はそれだけを確認し早々に立ち上がる。 「もうお帰りですか?」 「他の部署も見に行く」 「ご苦労様です」 キサラギが三人を見送る。 「やったぁ!」 大声を上げ、キサラギが両手を天に突き上げる。 「全然茶菓子が見当たらなくて遅く…… 博士しかいないじゃないですか!」 「リーネ! 扉に鍵をかけてそのお盆を置け」 「はぁ……」 言われるがまま鍵を掛けてリーネはキサラギの前に立つ。 「ゲノム首脳部がアース探索のために協力してくれることになった! 私とリーネは宇宙に出れるぞ!」 「ほ、本当ですか!?」 「ああっ…… 長かった。 皆存在しないと言い放ち、誰も真剣に取り組まなかった。 でも首脳部は認めてくれたのだ」 「私拒否しまーす」 「えっ?」 「宇宙出たくありません~。 そもそも私アース興味ないですー」 リーネが文句を垂れる。 「リ、リーネさん?」 「しかも宇宙に出るということは危険が伴いますよね? 私まだ死にたくないです」 「もうさっきの人に許可出しちゃったんだけど」 「はいっ!? それ完全に権力の横暴ですよね!? 散々アース汚した人間を馬鹿にして自分も同じことしてますけど」 リーネがキサラギに詰め寄って言いたい放題言う。
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