未知の世

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「そうか…… この星は必要不可欠なのか」 「はいっ。 おそらくこの星は魔女たちが支配する星、以降魔星と呼びます。 私が得た未来予知の中で、ここを通っているということは修正は効いたようです」 方舟内部ではタリスがヒカリと会話をしていた。 ヴェール、魔性の者が蔓延る星を越えここに来た。 これが想定の範囲内なのかを知るためである。 「修正? ということはしばらくは外れていたのか?」 「はいっ、先ほどの星で方舟が終わる未来もありました」 「まさか……」 「私は何度も試行しあらゆるパターンの未来を視ています。 余程のことがない限り黒星内部まで到達は出来ます。 しかし地球の本体と同期できなければ黒星内部で死んでいました。 先ほどの星ではキサラギさんと虹のジュエリアスさんが手を取り合わなければ死んでいました」 「そうか…… 歪ながらも何とかここまでこれたわけか」 「はいっ。 しかしここから先は視ることが出来ません」 「何故だ?」 「この星で私が死ぬからです」 「何!?」 「方舟は長い航行により老朽化が進んでいます。 そしてこの星の空気に含まれる『マナ』は私にとって害になります」 「なら何故この星を出ない?」 「この星で皆の異能が覚醒し新たなる力を手に入れるからです。 双方の利益を考えた結果です」 「お前が死ぬとどうなる? 方舟の航行は?」 「こうした皆と話すことができなくなるだけです。 方舟の機能が死ぬわけではありません」 「それは賛成できない。 お前の方のが価値がある」 タリスは相対的に考え、ヒカリを生かす方法を考える。 その頃、魔女たちの住処を歩いているリーネ達にも動きがあった。 「これは一体……」 木製の家屋群を抜けた先に巨大な大樹があった。 「私達の守り神。 マナの木よ」 「マナの木?」 木々から光輝く粒子が降り注ぐ。 「綺麗!」 ミハルとリトが騒ぎ出す。 「何か実ってますね」 リーネが木々に実っている何かに気付く。 しかしそれを凝視すると言葉を失う。 「あれは私達の仲間だよ」 「何でだ? あれは……」 人が木の実のように成っている。 あまりにも違和感のある光景にリーネ達が言葉を失う。 「私達はマナの木から生まれ、マナの木の下で死ぬ。 そして生まれ変わるの」 「あの木から出てる光…… 俺達にとって本当に害はないのか?」 「大丈夫です。 あの光から声が聞こえます」 マナの木から降り注ぐ粒子は人体に大きな作用を与える。 リーネは無機物のみならず、空気中の光からの声を聞く。 魔女によって案内され、星全体を練り歩く。 木製の家屋には住民が住み着き、リーネ達に歓声を送る。 ガッシは注視されることで心を読む。 誰しもがリーネ達を温かく出迎え、悪意を持つ者が誰もいなかった。
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