地上への憧れ、そしてアナタとの出会い

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地上への憧れ、そしてアナタとの出会い

(朝陽side.)  窓からみえる景色は、青い海と青い空。  カモメの声や船の汽笛の音が聞こえてくる。  私は横浜の海が見えるところに住んでいる。  生まれ育った街は海がある所なのに山々が海の前に壁を作っている、そんな場所だった。  だから海が毎日見られる場所に住むことに憧れがあった。  朝起きて海を眺めながらモーニングを楽しむ。  そして身支度をし、みなとみらい線の電車に乗りみなとみらい駅へ。  みなとみらい駅に着くと地上には出ずに地下を歩き、そのまま会社のビルに到着する。  ビルには商業施設が入っており、その上に会社がある。  会社から見える景色は空、空、空。    全面ガラス張りでまるで空にいるような感覚になる。  仕事をしながら気晴らしにと窓をみると目線の高さでヘリコプターが間近で飛んでいたり、  気配を感じて窓をみると窓清掃をしている人と目が合ってしまうこともある。  そんな場所。  仕事はクリエイティブな仕事でずっと座りっぱなしの仕事。  ミーティングがあったとしても座りっぱなしだし、外部の人と話す時も座ったままモニタ越しで話す。  座りっぱなしなだけでもシンドイのに、足元にはタワーPC、机の上はメインモニタとデュアルモニタ、iPad、iPhone、android端末が置かれ画面と睨めっこをしなくてはならない。  常に眼精疲労の状態。  だからお昼休みは外に出るようにしている。  会社でお昼のお弁当を無料で配布しているがそれより私は外に出たいのだ! ちなみに朝の無料のフルーツはもらっています。  時計がPM12:00を指す。  お昼用に作ってきたサンドウィッチを持ち、いざ地上へ!  今日はみなとみらいの公園でランチをしよう!  その日は桜が咲く時期だというのに雪が降っていた。  桜の花びらと雪が舞う。  いつもと違ってなんだか幻想的な風景にみえた。  寒いせいなのか公園には人がほとんどおらず貸し切り状態であった。  雪がうっすらと積もり、白い絨毯のようになっていたので足跡をつけようと歩く。  もう少し面白い足跡をつけようとジャンプをしてみる。  調子に乗ってジャンプをしていると滑ってドンっと大きな音を立てて盛大に転んでしまう。  尻餅をついてしまい起き上がろうとしていると「お姉さん、大丈夫ですか?」と声を掛けられる。  私の今までの行動をみられていると思うと恥ずかしくて顔を上げられずにいると 「雪が好きなのはわかったけど、そのまま座りっぱなしだとお尻がビショビショになっちゃうよ?」と声の主はくすりと笑う。そして私に手を差し出した。 「ありがとうございます」そう言って、手を掴み立ち上がる。  顔をあげると目の前には……雪の妖精が立っていた。  一目惚れ。  そう今、まさに一目惚れというのをした。  びゅうっと風が吹き、桜の花びらと雪が舞いあがっていく。
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