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過去の思い出 ~世界の捉え方~
(星夜side. )
それからは毎週同じ場所へ行き同じ景色を捉え、同じ時間を過ごした。
僕はキミだけには本当の自分の姿を見せ、自然な笑顔が溢れていた。
自分と感覚が同じと言う人に会ったのは、はじめてで本当に嬉しかった。
休みになると毎週のように山の中にある立ち入り禁止の廃墟があった場所によく入り込んだよね。
地上から見る廃墟と森に既存の動物とこの世界には存在しない架空の動物を描き、キミの奏でたケルト音楽に合わせて僕が歌って。
廃墟の非常階段を上がると見えてくる海の景色を捉え、天使やドラゴンのようなファンタジーな生き物を描き、キミの奏でたアンビエント音楽に合わせて僕が歌って。
夜になって満天に輝く星空と海に広がる夜光虫が星空のように光っている景色に、個性のようなカラーが光る魂のようなものを描き、キミの奏でたエレクトロポップ音楽に合わせて僕が歌って。
それだけじゃ物足りなくて、学校が終わってから遊びに行ったいつもの場所を捉えた。
その場に合わせてキミは音を作り、僕は歌う。
そんな毎日。
いろんな場所へ行っては僕らだけの世界を捉えたよね。
僕らは同じような感覚を持つが時に真逆というくらい違っていたりする。
「ねぇ、朝陽」
「なに? 星夜」
「おはよう。って言葉さ、長い一日がはじまる。今日も一日頑張ろうって感じがして苦手なんだよね」
「そう? 私はおはようって言葉は未来がはじまるコトバって感じがして好きだけど。どんな今日がはじまるんだろうって感じがしてドキドキワクワクでいっぱいになるよ」
「そう考えるといい言葉に感じるね!」
「でしょ?」
「うん! 捉え方はマイナスだけではなくプラスもがいいね」
「そ! どんなモノにも物事にもマイナスもプラスもあるのが当然で、でも折角ならプラスの方を取った方が前向きになれるというか、楽しいというか!」
「僕らの表現するものも全然違うけど、それぞれにないものを合わせるとまた新しい世界がうまれるね。僕ら一人一人じゃ出来ないこと。二人ならもっとミラクルな世界がつくり出せるね」
「私たちにしかつくりだせない世界をたくさん作っていこう!」
「ね、僕らは最高のコンビじゃない?」
「最高に最強のコンビだね」
そんな話をして、僕たちは笑いあいハイタッチをする。
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