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雪の妖精
(朝陽side. )
雪のように真っ白い肌と髪、天色の瞳をした小柄な少年……
まるで雪の妖精が舞い降りたのかと思った。
そんなアナタに見惚れていると「そんなに、じーっとみないでよ」
と雪の妖精は眉をハの字にして愛想笑いをした。
「雪のような綺麗な髪色だね、それに空みたいな瞳もステキ。雪の妖精さんかと思ったよ」
と私は本人を目の前にしてそんな言葉を言ってしまう。
「ふふふ。お姉さんは子供みたいですね。雪ではしゃいだり、思ったことを口に出したり」
「あ、ごめんなさい。あまりにも綺麗だったから、つい」
一目惚れをすると素直にでもなるのだろうか。
心で思ったことを口に出してしまう。
「あはは。そんなにドストレートに言われると僕が照れちゃうよ」
アナタのそのハニカんだ笑顔も少し傾げた首も可愛すぎるでしょう。
「私も誰かにこんなこと言ったのははじめてだよ」
「そっか。お姉さんは誰にでもそういう感じなのかと思っちゃった! それよりお姉さん、手先が真っ赤だけど大丈夫?」
「え? ああ。平気、平気!」
「お姉さんが平気でも手が平気じゃないかもしれないよ。だから僕の手袋をどうぞ。ついでにマフラーもどうぞ」
とアナタは身に着けていた手袋を私の手にはめ、同じく身に着けていたマフラーを背伸びをしてかけてくれる。
「ありがとう。でもそれじゃあアナタが寒くない?」
「へへ! だって僕は雪の妖精だよ? だから寒くなんかないよ!」
アナタはクルっと回ってから両手を広げてみせる。
これがアナタとの出会い。
それから私はアナタに会いたくて、お昼はみなとみらいの公園に行くのが日課になった。
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