過去と今×嘘と真実

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過去と今×嘘と真実

(星夜side. )  キミと出会ったのはキミに合わせる(・・・・・・)と約二年前。  でも本当の出会いは小学校の時だったりする。  みなとみらいで再会した日は、友人が朝陽を見かけたという話を聞いてその場所に向かった。  会いたいという気持ちが強かったのかキミに再会することが出来た。  キミは僕のことを覚えてなかったけどね。  それでもキミに再会できたことが本当に嬉しいと思った。  僕はあの頃からずっとキミのことが好きなんだ。 * * *  僕は嘘をついている。  キミにはじめて会ったのは、小学校の時。  キミはいつも楽しそうに大きな声で笑っていたよね。  別に目立つ存在ではなかったけど声が大きかったからよく覚えている。  ちょっとだけでも話してみたいなと思ったこともあった、けど勇気が出せなかった。  それにね、キミが絵を描くのも音楽を作るのも知ってるんだよ。  小学校の時、職員室の前に一枚の空想画が貼られていた。  天使と悪魔の羽を生やした盲目の少女が中央に立ち、月と真っ暗な世界と太陽と真っ白な世界が空を二色に染め、中央には剣で刺された壊れた時計が浮遊していた。  その絵は水彩画で描かれ、陰影もあり奥行きも感じるものだった。  それがキミの絵だった。  僕はキミの描いた絵に一目惚れをした。  それからその絵を毎日見にいくのが日課になっていた。  ある時、僕がその絵を見に行こうと職員室に向かっていると、キミがフラっとやってきて自分の絵の隣にある詩を声に出して読みはじめた。  そして手に持っていたロールピアノを徐に広げ音を奏ではじめた。  その詩は僕が書いたものだった。  キミは僕が書いた詩に音をつけはじめたんだ。  その時、息を吐くと真っ白な息が出る時期だというのに真夏の海にいるかのように心も体も熱くなった。  心臓が飛び出して踊り出すんじゃないかってくらいドキドキして、目が落ちちゃうんじゃないかなってくらいに目をまんまるに大きく開いて、寒くて悴んだ手がギュって握られ温かくなるようなそんな感覚を覚えた。  僕は本当に嬉しかった。  その時は勇気がなくて話しかけられなかった。  だから次のタイミングであなたに話しかけようとしていた。  けれどその時、持病が悪化してしまって入院をした。  僕は昔から体が弱くて入退院を繰り返していた。  だから誰かと仲良くなろうと思えなくなっていた。  そう、思い出を作りたくなかったんだ。  でも本当は……心の中では……誰かと一緒にいたいと思っていたんだ。  一人は寂しかったんだ。  でもね、キミとは一緒に音と言葉を紡いでみたいと思ったんだ。  これが朝陽との本当の出会い。  僕の初恋の人との最初の思い出。  目を閉じると昨日のことのように思い出す、そんなタカラバコのような記憶。
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