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 B大の文化祭の日がやってきた。文化祭日和の快晴だ。  今日の僕は屋台で焼きそばを焼く係だ。いつになく張り切っていた。料理は得意だし、何より小石川先生が来てくれる。  せっせと焼きそばを焼いていたら、瞬く間に時間が過ぎ、いつの間にか13時を過ぎていた。 「先生、まだ来ないな……」  あれだけ目立つ先生が来ているのに気がつかないはずがない。まだ来ていないのだ。食いしん坊の先生なら正午前にやってきてもおかしくないのに、どうしたんだろう。文化祭はたくさん人が来ているし、何かあったのかもしれない。  そう考えている間に交代の時間が来てしまった。僕は料理をする仕事はもう終わりなので、ゴミを出しに行くことにした。ついでに先生を探そう。 「あら、涼くんじゃない」  道中声を掛けられたので振り向くと、藍華さんが立っていた。 「藍華さんじゃないですか。どうしてここに?」  藍華さんに会うのは、僕が大学に合格して先生と一緒にお礼を言いに行ったとき以来だった。 「B大の文化祭は時々来てるのよ。ホールの出し物が面白そうな時とかね」 「なるほど」 「そういえばさっき小石川先生に会ったけど……」 「えっ、先生来てるんですか?」 「涼くんが呼んだんでしょう。もうすっかり小石川先生ガチ恋同担拒否になっちゃって」 「へ?」  耳慣れない言葉が飛んできて面食らっていると、藍華さんが説明した。 「先生、最近好きな人ができたんでしょ。こないだ店に来た時話してたわ。それで先生がその人を誘って文化祭に行こうとしたら、涼くんが怒ったんでしょ。さっき先生と偶然会ったけど、『一人で屋台に行くと涼くんと約束したので』って言って、どっか行っちゃったのよ」 「そうだったんですか……」  先生にだいぶ気を遣わせてしまったみたいだ。申し訳ないことをしてしまったなと思った。 「それにしても、さっきの文句はなんですか? 『ガチ恋……?』」 「『ガチ恋同担拒否』よ。別に知らなくてもいい言葉だけど。そろそろ目当ての出し物が始まっちゃうからもう行くわね。小石川先生にはそのうち会えるわよ。先生もここ出身なんだし迷子にはなってないでしょ。それじゃ」  藍華さんはすたすたとホールに向かって歩いて行った。  ガチ恋はともかく(ていうかガチ恋じゃないし)同担拒否ってなんだ……?と思いつつ、ゴミ置き場に向かった。
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