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 ゴミ袋を置こうとしたとき、すでに置かれている黒いゴミ袋ががさっと音を立てて動いた。  びっくりしていると、そのゴミ袋の中から、人が顔を出した。小石川先生だった。 「小石川先生!」  「涼くん、いいところに。やっと会えましたよ」 「先生なにやってるんですか!?」  先生はゴミ袋から首だけ出した状態で説明した。 「いやあ、私ここの出身だからか、来てみたら結講顔がさしてしまいまして、囲まれちゃったんです。だけど大丈夫です。この発明品『ゴミ袋擬態マント』を使って逃げ延びました」  先生はゴミ袋……ではなく、『ゴミ袋擬態マント』から出てきた。そして、ゴミ袋と思われたものを裏返して、マントとして身につけると、スーパーマンのように胸を張り立ち上がった。今日の先生の服装は、黒のゴミ袋にデザインに合わせたのか、光沢のある黒い生地のスーツだった。スーツにたくさんついているボタンは金色に光っていたので、決して地味ではなかったが…… 「涼くん、焼きそばはまだ残ってますか!?」 「はい!」 「じゃあ、行きましょう! 屋台はどこですか?」 「あっちです!」  先生はマントをはためかせて走り出した。  先生には、やっぱり他の人にはない輝きがある。
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