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「雪が降ってきましたね」  僕が喫茶店の窓の外を見て呟くと、 「今日はホワイトクリスマスね」  と空子さんが答えた。  今日は12月24日、クリスマスイブだ。喫茶店の中にも小さなクリスマスツリーが置かれ、クリスマスソングが流れている。  小石川先生は今日七歩さんとデートするらしいけど、待ち合わせは昼過ぎだから、モーニングはいつものように食べに来ると言っていた。 「おはようございます! 涼くん、モーニングをください!」  先生が元気よく店内に飛び込んできた。 「おはようございます、先生」  僕はモーニングのホットコーヒーの用意をしながら言った。 「おっと、メリークリスマスを言うのを忘れていました。メリークリスマス、涼くん」 「メリークリスマス、先生。今日のモーニングはクリスマススペシャルでして、プチケーキ付きですよ」 「わあ、楽しみです」  先生は嬉しそうに手を叩いて喜び、席に着いた。 「先生、これ僕からです。クリスマスプレゼント」  先生にハンカチをプレゼントした。本当は1ホールのケーキを作りたいぐらいだったけど、このあとデートの予定がある先生にそんなかさばるものは渡せないので、小物にしておいた。 「ありがとう、涼くん。私も涼くんにクリスマスプレゼントを持ってきましたよ」  先生は僕に小箱を渡した。  小箱には、青い蝶々のヘアクリップが入っていた。 「綺麗……」  僕は思わず見とれた。 「ありがとう、先生。すごく嬉しい」  モーニングを食べると、先生は喫茶店を後にした。  このあとは七歩さんとクリスマスデートか、どんな感じになるんだろう……
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