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「ごめんなさいね、七歩ちゃん。迷惑かけてしまって」  千里ちゃんのママは点滴を受けながら言った。 「いえいえ。重病じゃなくて安心しました」  私の隣に座っている千里ちゃんも、だいぶ落ち着きを取り戻していた。 「だけど、七歩ちゃんはどうやって私が倒れたのに気がついたの。千里が呼びに行ったのかしら」 「いえ、ちょうど出かけようとしてて……」  私ははっとなった。  私、今日小石川先生とデートの予定で、家を出たんだった!  千里ちゃんの泣き顔、失神した千里ちゃんのママ、初めて乗った救急車に初めての救急外来。気が動転していて、頭から先生のことがすっかり抜け落ちていた。  窓を見ると外はもう真っ暗。時計を見ると6時を過ぎていた。待ち合わせの時間から何時間も経っている。  血の気が引いた。慌ててスマホを取り出すと、先生から着信がたくさん来ていた。 「どうしよう……」 「七歩ちゃん、何か大事な用事があったんじゃない?」  千里ちゃんのママが尋ねた。 「小石川先生と……」 「まあ! そういえば今日クリスマスイブじゃない! 早く連絡してあげて。私と千里は大丈夫だから」 「は、はい」  病院の外に出て、先生に電話を掛けた。  先生は電話に出なかった。 「先生……」  私はとにかく誠心誠意謝罪するラインを送った。もう遅いかもしれないけど。
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