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亜妃さんは面白そうに笑って言った。
「急に不機嫌になっちゃって。バレー部のキャプテンくんは、もしかして、わたしに気があるの?」
「あるわけないだろ!」
振り返った庄野は、珍しく真面目な様子に見えた。
まわりもそう感じたのか、庄野と仲が悪いバスケ部のやつらが、早速攻撃を開始する。
「庄野、結構マジじゃねぇ?」
にらむ庄野。
「そういえば、前にそんな話あったよなぁ」
「あったあった。庄野と亜妃先輩がデートしてたって」
確かに一年前、そんな話で学校中が持ち切りになったときがあった。一年生にしてバレー部のエースだった庄野と、すでにいろんな男と噂のあった亜妃さんが、付き合っているんじゃないかと騒ぎになったのだ。ただ、強豪校であるうちのバレー部は恋愛禁止という決まりがあったこともあり、庄野がきっぱりと否定して噂は消えていった。
「結構見たってやつらいたよな?」
「実はおれ、見たぜ」
「黙れって」
庄野が不機嫌極まりないという調子でつぶやき、面白そうに笑って様子を眺めている亜妃さんを恨めしそうに見た。
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