3人が本棚に入れています
本棚に追加
「卒業パーティーなんて言ってるけど、まだ夏でしょ。亜妃さん、そんなことばっかやってて、本当に卒業できるんですか? 卒業できるとして、進路は考えてるんですか?」
まあまあ落ち着いてというように、亜妃さんはおれの胸元を軽く叩いた。
「心配してくれて、ありがと。でもね、ちゃんと真司くんにもメリットがある話なの」
彼女は少し顔を寄せて言った。
「パーティーには少し顔をだしてくれるだけでいいから。あとは二人でどこかに行こう。ホテルに泊まってもいいし」
おれは首を振って言った。
「亜妃さん、よく体育の授業をさぼってるよね。スポーツしてる感じでもないし、体力がなさそうだから、おれとは合わないと思う」
「ちょっと、言ってくれるじゃ……」
そのとき、突然、バンッという音がすると同時に、後頭部に衝撃が走った。
一瞬何が起こったのかわからなかったが、振り返ると、バレーボールが弾んで転がっていた。
「だ、大丈夫?」
心配そうな亜妃さんをよそに、おれは、ボールの転がる先をにらみつけた。すると、そこに立っていた同じクラスの万田春香と目が合った。
最初のコメントを投稿しよう!