「難攻不落の男」を落とした女

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「卒業パーティーなんて言ってるけど、まだ夏でしょ。亜妃さん、そんなことばっかやってて、本当に卒業できるんですか? 卒業できるとして、進路は考えてるんですか?」  まあまあ落ち着いてというように、亜妃さんはおれの胸元を軽く叩いた。 「心配してくれて、ありがと。でもね、ちゃんと真司くんにもメリットがある話なの」  彼女は少し顔を寄せて言った。 「パーティーには少し顔をだしてくれるだけでいいから。あとは二人でどこかに行こう。ホテルに泊まってもいいし」  おれは首を振って言った。 「亜妃さん、よく体育の授業をさぼってるよね。スポーツしてる感じでもないし、体力がなさそうだから、おれとは合わないと思う」 「ちょっと、言ってくれるじゃ……」  そのとき、突然、バンッという音がすると同時に、後頭部に衝撃が走った。  一瞬何が起こったのかわからなかったが、振り返ると、バレーボールが弾んで転がっていた。 「だ、大丈夫?」  心配そうな亜妃さんをよそに、おれは、ボールの転がる先をにらみつけた。すると、そこに立っていた同じクラスの万田春香と目が合った。
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