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「おまえの見栄がそもそもの原因なんだよ。学校の奴らとうまくやってると思いたくて、グループに金魚のフンみたいについてまわって、愛想笑いして、パシリみたいに何でも言うこと聞いて」
「う、うん」
「別にそれも人の勝手だけど、おまえの場合は、それすらまともにできないから、こうやって毎回人に迷惑をかけることになるんだ」
「うん、ごめんね」
「まじで目障り。目の前にいるだけで、イライラする」
「ほんとに、ごめん」
万田春香は、嵐が過ぎ去るのをひたすら耐えているかのように、うつむいたまま身を固くしていた。
ふと、彼女の腕をつかんだまま力が入っていたことに気付き、手を離した。
亜妃さんが腕に絡みついてきて、なだめるような口調で言った。
「もうやめなよ、ちょっと言い過ぎ。真司くん、普段も結構きついけど、なんかいつも以上だね。そんなにこの子のことが気にかかるの?」
「気が弱いくせに平気で迷惑かけてくるところが、嫌いなだけだよ」
万田春香は、おれを見上げて、申し訳なさそうに、へへっと笑った。おれは目をそらした。
嫌いなわけではない。
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