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「でも、噂って広まるの早いじゃない。いちいち否定するのも面倒だから、ほんとに付き合っちゃわない?」
「おれは面倒だからじゃなくて、好きだから付き合いたい」
「え、やだ、まじで? どうしよう」
亜妃さんの引き気味の驚いた顔を見て、もしかしたら言い方を間違えたかもと思った。
「そうじゃなくて、仮定のはなし……」
そのとき、突然、バンッという音がして、目の前にバレーボールが弾んで転がっていくのを見た。
ボールが飛んできた方向を見ると、バレーのユニフォーム姿の庄野が体育館の入口に立って、いつもの人懐っこい笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
「やっぱり噂は本当だったんだな! おまえ、やったな!」
わざとなのか、庄野は大声でそう言って拍手をした。聞きつけたバレーやバスケ部の生徒たちが体育館からわらわらと出てくる。
「みんなで二人を祝福してやろうぜ!」
「胴上げでもするか?」
お調子者の庄野の扇動で、本当に胴上げしそうな勢いで騒ぐ。
その騒ぎを聞きつけて、通りがかりの生徒まで集まってきた。
こういう状況になるといっそう調子に乗るのが庄野という男だ。
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