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「先輩、この『難攻不落の男』をどうやって落としたんですか?」
亜妃さんは嬉々として答えた。
「それはねぇ……、後輩の君たちには、ちょっと刺激が強いかなぁ」
群がっているやつらがどっと沸く。
あきれて、ものが言えない。調子に乗りやすくて、騒ぐことが好きなところが、亜妃さんと庄野は似ている。
「この前、二人でパーティーに行ってね、そのときに」
「亜妃さん、もうそのへんで。おれたちは……」
ふと、まわりに集まってきた中に、万田春香がいることに気付いた。また、誰かのパシリをしているところなのか、手に持った袋にいっぱいのペットボトルが見える。
「おれたちは、何なんだよ!」
「うるさい」
万田春香を見て、一気に気分が悪くなってしまった。
「真司くんが怒るから詳細は言えないけど、パーティーでこういうことになって」
そう言うと亜妃さんは、背伸びしておれの首に抱き着いてきた。
冷やかしの声やら、女子の悲鳴やらが、さらに騒がしい。
「はいはい、もうどうでもいいよ」
ついさっきまで調子づいていたくせに、庄野は急に気が変わったらしく、そう言っておれたちに背を向けた。
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