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何やら真剣な頼みごとがあるとかで、先輩に教室の外に呼び出された。
彼女は、この高校で「遊んでる」女子として有名な三年生だった。化粧のせいもあるのか、はっきりとした派手な顔立ちの美人で、上目遣いがいつも意味ありげだ。このところよく話しかけてくるが、外見に反して、性格は飾り気がなくて面白い人だ。
「今週末に友達の家で卒業パーティーするから、一緒に来て」
「どうして、おれが?」
「正直言っちゃうと、賭けをしてるんだ。誰が一番カッコイイ男を連れてこられるかって。まあ顔がいい男なんてわりといるけど、その中でも真司くんは頭はダントツでいいし、何といっても女子の間では『難攻不落の男』で有名でしょ? そんな男を連れて行ったら、わたしの勝利は間違いなしでしょ」
「おれ、別に女に言い寄られたことなんてほとんどないし。そもそも先輩の遊びに付き合う義理はないんで」
「真司くん、無愛想で怖いから寄ってくる女子はなかなかいないだろうけど。ほら」
と、おれの上腕あたりに手をやりながら、彼女は教室の方に目を向けた。
「二年の女の子たち『わたしたちの真司くんに手を出すな!』って、わたしを睨んでるよ」
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