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「あ、ごめん。私打ち合わせあるから先に行くね!」
「おっけー。頑張ってね!」
美智香が意気揚々と出て行ってからも香澄と真緒のトークは続く。
「でもさー。あの怪文書、誰が送ったんだろうね?」
真緒がつぶやく。
「美智香だよ」
え!?
言い切った香澄に声が漏れそうになって口を塞いだ。
「なんで!? どういうこと!?」
「私見ちゃったんだ。美智香が資料室からカメラ回収してるとこ」
「あの抱き合ってた写真!?」
「そうでしょ。なんでだろうってその時は思ったけど、あの写真見てすぐに繋がったよ」
「でもそこまでやる!?」
「だって美智香は入社からずっと佐代がいたせいで地団駄踏んでたんだよ? 佐代がコンペ勝って広告賞取ってちやほやされてるの直近で見て、佐代さえいなくなればって思うでしょ?」
怖い。
「あはは! なのに『変なメールが送られてきてるぅ!』とか言ってたってこと!? めっちゃオモロい! あはは!」
「ね〜。ぶっちゃけ佐代がいなくても美智香の案は通らないかなって感じだけどね」
「間違いない! あはは!」
怖い。
美智香も、香澄も、真緒も。
部長も。会社も。
みんな、怖い。
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